町の中心にあるヒンドゥー教の聖地を離れる。当然のことだが、神聖な場所から一歩外へ出れば、ナシークの町でも極めて世俗的な日常生活が営まれている。この地はインド神話の『ラーマーヤナ』ゆかりの場所だ。12年に一度開催される大巡礼祭クンブ・メーラの舞台としても広く知られている。しかし、聖域を少し外れると、スパイスの匂いとバイクの排気音が入り混じる雑多な路地裏にすぎない。そんな町をカメラを抱えて歩いていた。すると、向こうから三人組の若者がこちらの様子を窺いながら近寄ってきた。
こちらの様子を窺いながら近寄ってきた三人組の若者のうち、二人は鞄を肩から斜めに掛けていた。その掛け方を見る限り、一見するとどこかの学生のようにも思える。しかし、よくよく彼らの顔つきを観察してみると、学生にしては些か年をとりすぎている気がした。たぶん、本当の学生ではないのだろう。インドでは歴史的な経緯から、英語が社会的なステータスやビジネスの準公用語として広く使われている。このたかだか三人の小さなグループの中にも、どうやら明確な役割分担があるようだった。僕に話しかけてくるのは、真んくにいる若者だけである。
その真ん中にいる若者だけが饒舌に話しかけてくる間、残りの二人は後ろに控えたまま、じっとこちらの様子を見つめていた。おそらく真ん中の若者がリーダー格なのだろう。三人の中で最も語学が達者な交渉役に違いない。右側の男は白いシャツを着てニヤリと不敵に笑っている。左の男はキャップ帽をかぶり、値踏みするような目を向けていた。一人にすべてを丸投げして後ろで神妙に佇む彼らのフォーメーションが、なんだか楽しかった。
| 2015年7月 インド 人びと | |
| 鞄 ナシーク 三人組 青年 |
No
9368
撮影年月
2010年9月
投稿日
2015年07月18日
更新日
2026年07月12日
撮影場所
ナシーク / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM