タイのバンコクで撮影。
バンコクに数多ある観光地とは打って変わって、歩いている場所は静けさに包まれていた。つまるところ、僕が歩いているのは観光名所ではないところのだった。観光客の姿はほとんど見掛けることはなく、時折見かける地元の人たちはゆったりとした時間を過ごしている。このようなガイドブックに載っているようなものがない場所を好き好んで歩く人は少数派なのだろう。ほとんどの旅行者はもっと見た目が派手な場所ばかりを訪れて、地元の人が日常生活を送っている場所には興味なぞ無いのだ。
住宅街の中を歩いていると、道端に男がひとりで腰を下ろしていた。周囲には売り物になるようなものは何も置かれていないから、何かをそこで販売している訳でもない。仕事中なのか、休憩中なのかも分からない。ただただ道端に腰を下ろしているのだ。そんな男にカメラを向けると、朗らかに親指を立ててくれた。ここには目を瞠るような建物とかは無いけれど、このようなフレンドリーな人に会えて僕は大満足だった。