クロントゥーイ市場に伸びる通路の真中に大きな籠が置かれていて、口髭を蓄えた男が両足を突っ込んで腰掛けている。通路を行き来してる人やお店で働いている人たちとは対照的に、男は膝の上に手を載せたままじっとしていた。まるで、この男だけが時間の流れから取り残されてしまっているかのようだった。男は市場で働くクーリエで、この場所で客が来るのをじっと待っているのだった。
市場の忙しい時間はもう過ぎてしまっているので、男のところにもなかなか仕事がやってこないようだ。男はパラソルの下でじっと待ち続けている。僕が目の前に立ち止まっても、男は動く様子はなく、太い眉毛を動かして、突如現れた異邦人を探るような目で見るだけだった。僕が抱えているカメラを見て、男はすぐさま僕が客ではないと理解したようだ。ちょっとがっかりしていたのかもしれないけれど、男は力強い視線を僕に向けたままファインダーに収まってくれた。
2018年5月 人びと タイ | |
バンコク クロントゥーイ市場 男性 市場 無精髭 ベスト |
No
10543
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年05月01日
更新日
2024年02月17日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA