雷門を抜けて仲見世を歩き、宝蔵門を越えると本堂の前に大きな香炉が設置されている。参道の脇にある小屋で買った線香を香炉に立てる人もいるし、煙を頭に浴びるだけの人もいる。いずれにしても多くの人が浅草寺の本堂にお参りする前にしばし香炉のところで足を止めている。
香炉から上る煙を体に浴びるのは、煙に邪気などを払う効果があるとか、体の悪い箇所がよくなるとか、頭がよくなるとか信じられているからで、もともとは参拝者の身体を清めるためのものだったという。
面白いのは、その煙を浴びるという行為は日本特有のものと思われること。形が違えど線香も香炉も海外の仏教寺院にあって、参拝客が線香を供えるのも同じなのに、日本のように煙を体に浴びる行為を海外の仏教寺院で目にした記憶はないのだ。
体を清める煙というと、スペインにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂のボタフメイロという巨大な香炉から出る煙を連想してしまう。サンティアゴ巡礼路の最後に建つ大聖堂では、天井からロープで吊るされたボタフメイロが振り子のように振られ、香を巡礼者に振りまくのだ。
仏教とキリスト教。宗教的にはまったく繋がりが感じられないけれど、煙に何かしら力があると信じていたのは同じなのかもしれない。
2010年11月 町角 東京 | |
浅草 香炉 浅草寺 寺院 参拝客 |
No
4851
撮影年月
2010年5月
投稿日
2010年11月17日
更新日
2024年07月01日
撮影場所
浅草 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM