歩いていた路地は薄暗い上に歩いている人はいなかった。まるでこの辺の住民はみな揃ってどこかへ出かけてしまったかのようだ。路地は蛻の殻だ。リヤカーが置いてあったり、バイクが駐められてはいるものの、人の気配は感じられない。僕はそんな路地をひとり寂しく歩いていて、二匹の猫に行き会った。二匹とも真っ白で外見は似ている。おそらくは親子なのだろう。
誰もいない寂しい路地で生き物に出会えて僕はちょっと嬉しくなったのだけれど、猫の方はそうは感じていないようだ。二匹にとって僕は招かざる客のようで、決して友好的な態度を見せてはくれない。いそいそと猫に近付いていくと、猫は猫でいそいそと逃げていく。そのうちにリヤカーの下という安全地帯へと逃げ込んでいった。そして、親子揃って敵意に満ちた眼差しをこちらに向けたのだった。一所懸命に僕が人畜無害な人間であることを伝えようとしたのだけれど、それは徒労に終わってしまったのだった。
2018年3月 動物 タイ | |
路地 バンコク 荷車 猫 |
No
10479
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年03月14日
更新日
2024年03月08日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA