どのような光景が見られるかと期待して来たものの、実際に見られた光景は期待していたものとちょっと違った。確かに実際の競りが行われている。メガホンを手にした競り人と思われる人が喋っていて、取り囲むように並んだ人たちが何やら反応している。競りだ。でも思い描いていたよりも、ずっと遠くで行われていて、働く男たちの熱気は僕に届くまでに冷めてしまっている。申し込めば競りを見学できると聞きつけて、朝6時前に喜び勇んで札幌市中央卸売市場にやって来た僕は、2階の見学通路でカメラを構えながら気落ちしていた。
でも仕方がない。ここは卸売市場、男たちが真剣に生鮮食品を売り買いしているところだ。物見遊山でやって来た人間なぞ邪魔以外の何者でもない。そう考えているのは重々承知なのだけれど、もうちょっと近くから眺めたかった。せめて2階見学通路からではなく、1階せり場に入って眺めたかった。僕以外誰もいない2階の見学通路にシャッターの音だけが虚しく響いていた。
2024年1月 北海道 人びと | |
せり 帽子 市場 札幌 |
No
12559
撮影年月
2023年6月
投稿日
2024年01月31日
撮影場所
札幌 / 北海道
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85