あまりインドらしくないスマホケースやアクセサリーを売るキオスクのすぐ近くで、いかにもインドらしいキオスクが営業していた。こちらは煙草屋だ。けれど、売られているのはタバコだけではない。日本ではまず見かけない、ビンロウジを使った嗜好品のパーンやグトゥカーがずらりと並んでいる。
カメラを構えて煙草屋の男にレンズを向けると、彼は少し訝しげな視線をこちらに送ってきた。その表情には何かしらの警戒心が漂っている。あるいは、写真を撮る観光客に慣れすぎた疲れがあるのかもしれない。
ビンロウジを使った嗜好品は、近年では規制しようという動きもあるらしい。けれど、今でもインド中で当たり前のように売られている。それだけ一般的なものだ。それでも妙なことに、ビンロウジで赤く染まった唾が路上に吐き捨てられているのをほとんど見かけない。あの真っ赤な唾の跡は、インドの日常の一部として頭の中に焼き付いていたのだけれど、実際にはそんな光景がほとんどないのだ。
道路を汚さないようにするマナーが存在しているのだろうか。あるいは、僕が見逃しているだけかもしれない。どちらにせよ、その不思議さに小さな興味を覚えながら、煙草屋の男の視線をもう一度ちらりと見た。
2024年12月 インド 人びと | |
帽子 男性 ムンバイ パーン 煙草屋 |
No
12729
撮影年月
2024年5月
投稿日
2024年12月11日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF