バングラデシュの首都であるダッカの街は、どこを歩いても人と埃で溢れかえっている。その喧騒から逃れるようにしてブリガンガ川のほとりまでやって来たが、川面もまたひどく混み合っていた。濁った水の上に、小さな手漕ぎのボートが何艘もあてもなく浮いているのだ。水草の間を縫うように進むその姿は、大きな河に漂うただの木の葉のようで、見ていてなんとも頼りない。
その見ていてなんとも頼りない小舟が、なぜこんなにウジャウジャと群れているのかといえば、僕が立っているショドルガットと呼ばれるエリアの付近には、まともな橋が一本も架かっていないからだ。したがって、対岸へ用事がある人間は、この心許ないボートに乗るしか道はないのである。国土の大部分が巨大なデルタ地帯で構成されているこの国では、網の目のように流れる水路のせいで、陸路よりも水上交通の方がずっと発達しているらしい。理屈は分かるが、川を渡りたいたびにいちいち船頭を捕まえて小舟をチャーターしなければならないというのは、よそ者の僕からすればひどく面倒なシステムに思えてならない。
そのひどく面倒なシステムに思えてならないボートでの渡河を、地元の人間たちは涼しい顔で当たり前のようにこなしている。客を乗せたボートが、水面に浮かぶ水草の群れをかき分けながら行き交う様子は、なんだか少し愉快だ。そんなのんびりとした手漕ぎボートから視線をさらに奥へと向けると、川の向こう岸には小さな木造ボートとは比べ物にならないほど巨大なフェリーが何隻も停泊しているのが見えた。実はここはこの辺りで最大級の河港であり、南部へ向かう大型長距離船の発着場にもなっている。
| 2013年11月 バングラデシュ 乗り物 | |
| ボート ダッカ フェリー オール 河川 |
No
8115
撮影年月
2009年9月
投稿日
2013年11月29日
更新日
2026年05月22日
撮影場所
ダッカ / バングラデシュ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM