頼んでもいないのに乗っていた自転車タクシーは米屋の前に停まったのだった。店先には眼鏡をかけた女性が腰を下ろしている。そして、周囲には米がいっぱいになった容器が幾つも陳列されていた。様々な種類が売られているようだけれど、どれもバスマティ・ライスのようだ。
売り物のお米を眺めていると、ガイドが話し始めた。周囲に住んでいる貧しい人たちのためにここで米を買いなさい、と。買ったとしても日本まで持って帰るのは難儀だと思っていると、それを見透かしたかのようにガイドは続ける。別にお米を日本に持って帰る必要はない。ただお米の代金だけ払ってくれればいい。そして、金さえ払ったら、米袋に名前を書いてくれるのだという。つまるところ、寄付をしろと言っているのだ。ここまで聞いて合点がいった。ヤンゴン川を渡るフェリーが無料だったのも、ガイドがいそいそと僕に近づいてきたのも、全ては僕をここに連れてくるためだったのだ。写真の女性はそんな状況を知ってか知らずか、ぼんやりと僕のことを眺めていた。
2018年12月 ミャンマー 人びと | |
ダラ 眼鏡 お米 女性 |
No
10842
撮影年月
2018年9月
投稿日
2018年12月25日
更新日
2024年01月24日
撮影場所
ダラ / ミャンマー
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA