ミャンマーの人の大多数は仏教徒だけれど、もちろんキリスト教徒やイスラム教などの他の宗教を信じている少数派の人もいる。そして、意外なことにその少数派の中にはユダヤ教徒も含まれているのだった。イギリス統治時代に他の場所から移住してきたユダヤ人の末裔が今でもヤンゴンに住んでいるらしい。かといって、町を歩いていてもユダヤ人やユダヤ教を連想させるものを見かけることはなく、ここムスミー・ヨシュア・シナゴークは数少ないユダヤの文化を目の当たりにする場所だ。
シナゴークとはユダヤ教の会堂で、キリスト教の教会、イスラム教のモスクに相当するものだ。ここのシナゴークはバグダッドやインドなどから移住してきたユダヤ人によって1896年に建立されたのだという。シナゴークの中に足を踏み入れると、中は閑散としていた。礼拝に訪れた人も姿もない。それはそうだろう。現在でもミャンマーに住み続けているユダヤ人の数は20人程度しかいないらしいから、その姿を見かけることの方がずっと珍しいのだ。
シナゴークの奥まったところには小さな部屋が設けられていて、中には銀色に輝くふたつの容器が並んで立てられていた。トーラーと呼ばれるモーセ五書が収められた聖櫃だ。定期的に磨かれているのか聖櫃の表面はピカピカだった。信徒の数はかなり少ないけれど、聖櫃だけでなくシナゴークそのものも手入れが行き届いているように見えた。
旧約聖書の最初の五書「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」の総称。ユダヤ教でトーラーと呼ばれる部分で、内容は「創世記」がモーセ以前、「出エジプト記」以下はモーセを中心として、神より与えられたイスラエルの律法が述べられている。前13世紀以降長期にわたる伝承集成の末、400年ごろ現形に編集された。モーセの著作と考えられたためにこの名がある。
No
10868
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年01月21日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA
モノクロの写真を108枚掲載。もちろんKINDLE UNLIMITEDでも読めます。