大きな新宿御苑の中にはいくつか休息所が設けられている。公園全体がリラックスしたり休息するためにあるような気もするけれど、ここでいう休息所はトイレがあったり、ちょっとした飲食ができるような場所のこと。僕が気に入っていた休息所は風景式庭園と中の池の間にある休息所だ。
池へと下がっていく斜面に建てられた休息所は飲み物の自動販売機とキオスクのような売店があるだけで、建物の中に無造作に置かれていたテーブルはいつ来ても空いていてぼんやりできる場所だった。テラス席もあって、そこから池と池のほとりを歩く人々を眺められたなかなかの場所だったのだ。そして何よりも好きだったのは、その裏寂れたような雰囲気だった。
その休息所がいつの間にか、スターバックスに変わっていた。壁にデカデカと人魚のロゴマークが描かれていて、何かを買わなければ建物の中に入ることも叶わなくなっていた。ずっと清貧だと思っていた人が、突然拝金主義者に変わってしまったような衝撃を受けつつ、中を覗くと満席で混んでいる。かつての裏寂れたような雰囲気はどこにもなかった。
仕方がないので僕は休息所の横にある斜面にやって来た。ここも混んでいた。芝生に寝転ぶ人びとを眺めながら、ふとテラスで餌をもらっていた猫は今でもちゃんと餌をもらえているのか気になった。
2021年6月 人びと 東京 | |
内藤町 公園 リラックス 新宿 新宿御苑 坂道 |
No
11946
撮影年月
2020年11月
投稿日
2021年06月23日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
内藤町 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85