交通量の多い目白通りから一本脇道に入ると、真っ直ぐに伸びる長い下り坂が現れた。富士見坂だ。都内にはいくつもの「富士見坂」があり、ここもそのひとつだ。しかし、その名前が示す富士山の姿を、今この坂から望むことは叶わない。坂の先に見えるのは高層のビル群ばかり。かつての眺望は、名前にわずかな名残を留めているだけだった。この坂から富士山が見えた時代、きっと東京の空はもっと広々としていて、開放感に満ちていたのだろう。
坂を少し下り、かつて富士山が見えたであろう方向を静かに見つめてみる。そこにはビルが重なる風景が広がるだけだが、ふと視界に親子連れの姿が映った。男の子が父親と手を繋いで楽しそうに歩いている。小さな手を元気よく振り上げながら歩くその姿には、昔の広々とした空を彷彿とさせるような、無邪気な開放感があった。
2017年7月 町角 東京 | |
電線 目白台 親子 坂道 |
No
10207
撮影年月
2016年12月
投稿日
2017年07月10日
更新日
2024年11月24日
撮影場所
目白 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA