路地は雑然としていて、どこを見ても散らかっていた。脇には発泡スチロールの箱が積み上げられ、所々にバイクが無造作に駐められている。細い通路が入り組む市場の中でも、ここは裏通りのような雰囲気を漂わせていた。まるで、市場の表の顔とは異なる別の時間が流れているようだった。
そんな路地を歩いていると、向こうから1台のバイクが近づいてきた。乗っているのはラフな服装をした男だ。特に急いでいる様子もなく、ゆっくりとしたスピードで路地を進んでくる。
男はやがてとあるお店の前でバイクを停めた。だが、バイクから降りることはせず、そのままの姿勢で店の中をじっと見つめている。険しい表情が、その横顔から読み取れた。店員に声をかけるでもなく、何かを尋ねる様子もない。ただ、じっと中の様子を伺っている。
その無言の姿には、何かを考え込んでいるような気配があった。それが何なのかは分からない。ただ、その短い一場面が、この裏通りの雑然とした空気に、少しだけ緊張感を与えているようだった。
2017年4月 人びと 台湾 | |
路地 バイク 台南 |
No
10120
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年04月25日
更新日
2024年12月10日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA