入った脇道は大通りと同じように大勢の歩行者が歩いていいて、道路脇には屋台が幾つも出ていた。黒いポロシャツを着た写真の男はその道で働いていた。赤く塗られた大きな機械が目の前に置かれている。機械の中にはギヤが幾つもあるのが見えて、横には大きなハンドルが取り付けられている。この機械はハンドルを回すと、水平に取り付けられた2本の部品でサトウキビを搾れるようになっている。男は搾りたてのサトウキビジュースを道路脇で売っていたのだ。
男はカメラを構えた僕に気がつくと、ハンドルを握ったまま、じっと僕を見据え始めた。眉間には皺が寄っている。なんだか、男は見知らぬ外国人に仕事の邪魔をされたと思っているようだ。でも、機械の挟む部分にはサトウキビが一本も見当たらないので、もし男が動くのを止めないでハンドルを回し続けたところで、売り物のサトウキビジュースは一滴も出来上がらない状態だ。男は見知らぬ人間の前で威厳を保つためには、日頃から握っているハンドルを離すわけにはいかなかったのかもしれない。
No
11171
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年08月31日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA
モノクロの写真を108枚掲載。もちろんKINDLE UNLIMITEDでも読めます。