JR渋谷駅の改札と井の頭線の改札を結ぶ連結通路から駅前のスクランブル交差点の様子がよく見える。岡本太郎の壁画と反対側に大きな窓があって、窓越しに人びとが交差点を横断しているのが見えるのだ。しかしながら、そこに立ち止まって眺めている人は少ない。ほとんどの人は山手線から井の頭線、あるいはその反対に井の頭線から山手線への乗換に急いでいるだけでスクランブル交差点を上からノンキに眺めている人はあまりいない。初めて見たときには少しは目を見張るかもしれないけれど、何回も通るうちにその興奮度は下がっていき、終いにはなんとも思わなくなってしまうに違いない。
この時、僕は山手線から井の頭線へ乗り換えようとしていた。他の大勢に混じって急ぎ足で連絡通路を歩いていた。窓越しに見えるスクランブル交差点も岡本太郎の「明日の神話」も眼中になく黙々と改札を目指していたのだ。ふと脇に目をやると、カップルが壁際に立って楽しそうに話しているのが見えた。並んで窓の外に視線を向けているふたりの後ろ姿を眺めていると、そこから見えるスクランブル交差点にすっかり興味を失っている自分に気がついた。
2021年5月 人びと 東京 | |
バック・ショット カップル 渋谷 窓 |
No
11920
撮影年月
2020年9月
投稿日
2021年05月28日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
渋谷 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF