JRの線路に沿って神田から東京駅に向かって歩いていた。住居表示によると、この辺りは大手町らしい。大手町というと日本経済の中心で、都市銀行や巨大企業が本店や本社を構えているようなイメージだ。確かに周辺には大きなビルが建ち並んでいる。
江戸幕府が開かれて江戸湾の埋め立てが始まるまで、丸の内や日比谷と同じようにここ大手町も入江だった。東京の中心部まで海は迫っていたのだ。でも今では海の影も形も見当たらないし、歩いていても磯の匂いが漂ってくることは一切ない。海が干上がりコンクリートジャングルになって、もう長い時間が経っているのだ。
線路の脇には薄暗い通路が伸びていた。日本経済の中心地にはふさわしくないような裏寂れた雰囲気が充満している。もっとも、その雰囲気は日本経済の先行きを暗示しているのかもしれないけれど。
しばらく歩いていると、通路の端へと近づいてきた。通路の先に男の姿が見えた。男はベビーカーを押して歩いていた。
2018年10月 町角 東京 | |
ベビーカー 大手町 通路 |
No
10754
撮影年月
2018年4月
投稿日
2018年10月06日
更新日
2024年01月29日
撮影場所
大手町 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA