楼門の中に鎮座していた随身が、暗闇の中でも刺すような視線をしていた

久能山東照宮の随身
久能山東照宮の随神
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久能山東照宮で拝観料を払って進んでいくと、朱塗りの大きな門が現れる。軒下中央に後水尾天皇の宸筆の扁額が掲げられているという由緒のある門だ。そういえば鎌倉にある英勝寺にも後水尾上皇の宸筆の扁額が掲げられていた。久能山東照宮はもちろんのこと、英勝寺も徳川家と縁のある寺院だ。天皇(上皇)に扁額を依頼するのもお手の物だったのだろう。

青地に金色で描かれた扁額もいいけれど、僕が興味を惹かれたのは楼門の左右に鎮座する随身だった。随身とは平安時代以降に外出する貴族の警護をするために随従した近衛府の官人のこと。仏教寺院なら正門にあたる山門に仏教の守護神である金剛力士がいるのと同じように、神道の神社には入口に神を守る者として随身姿の像が安置されているのだ。

久能山東照宮の楼門にも、薄暗い中に随身姿の像が安置されていた。中をのぞくと、刺すような視線が返ってきた。一瞬ドキッとするけれど、相手は格子の中だ。かっちしりした格子に覆われている随身は神を守護するというよりも、逆に世知辛い世の中から優しく守られているように見えた。

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ENGLISH
2024年7月 静岡 静物
格子 静岡市 神社

PHOTO DATA

No

12607

撮影年月

2023年11月

投稿日

2024年07月03日

更新日

2024年07月04日

撮影場所

静岡市 / 静岡

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R V

レンズ

ZEISS BATIS 2/40 CF

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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