この日は平日だったけれど、公園の一角に暇を持て余している男たちが集まってマークルックと呼ばれるタイ将棋に興じていた。他人事ながら仕事の方は大丈夫なのかと思ってしまうけれど、おそらくは大丈夫なのだろう。ここにいる誰しもが時間に追われているようには見えなかった。それよりも勝負の行方の方が大切なようだ。眼鏡を掛けた男も、タイ将棋に興じていたひとりだ。男は真面目な顔で将棋盤の上を眺めている。頭の中は仕事のことではなく、将棋のことでいっぱいに違いない。
そうこうしているうちに、対戦相手の男が駒を動かした。そして、眼鏡の男はじっとそれを見ている。その手に注目しているのは眼鏡の男だけではない。周囲で対局を眺めている男たち全員がその一手を眺めていた。男の駒は眼鏡の男の陣地の奥にまで侵入して来ている。どうやら眼鏡の男はクンと呼ばれる王将を守らなければならない状況に追い込まれているようだった。その状況に眼鏡の男の表情はよりいっそう険しいものになっていった。
2018年6月 人びと タイ | |
バンコク チェス 眼鏡 険しい顔つき |
No
10601
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年06月11日
更新日
2024年02月10日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA