日本で「インドカレー」といえばナンを思い浮かべる人が多い。もちもちとした食感に、濃厚なカレーがよく絡む。日本のカレー専門店では、焼きたてのナンが提供されるのが定番だ。
しかし、インドではナンは主流ではない。たしかにカレーは食卓に欠かせない存在だが、ナンを日常的に食べている人はほとんどいない。
その理由は単純だ。ナンを焼くには「タンドール」という特殊な釜が必要になる。これはインドの一般家庭にはほぼ普及しておらず、ナンの主原料である小麦粉や強力粉は贅沢品。庶民の主食としては敷居が高いのだ。
では、本場のインド人は何をカレーと一緒に食べているのか? 答えは「ロティ」や「チャパティ」といった素朴なパンだ。全粒粉を使い、発酵の必要もなく、フライパンひとつで手軽に焼くことができる。まさにインドの家庭の味といえる。
写真の男たちも、そんなロティ作りに励んでいた。ひとりが台の上で生地を整え、もうひとりが丸い鉄板の上で焼いていく。鉄板の上ではロティがこんがりと焼き上がり、立ち上る湯気が香ばしい。インドの町角では、このようにして焼きたてのロティが次々と生まれ、人々の胃袋を満たしていくのだ。
ナンではなく、ロティ。これこそがインドの本当の食卓の風景なのである。
2025年3月 インド 人びと | |
エプロン 生地 ムンバイ ロティ 無精髭 タンクトップ |
No
12836
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年03月14日
更新日
2025年03月15日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF