1627年に創建された富岡八幡宮は江戸勧進相撲(現在の大相撲の前身)発祥の地でもあり、江戸時代から大いに賑わっていた神社だ。北斎辰政と名乗っていた葛飾北斎が1800年に描いた絵入狂歌本「東都名所一覧」にも例祭である「深川八幡祭り」の様子が描かれている。この深川八幡祭りは今でも毎年8月15日を中心に行われており、江戸三大祭りのひとつとされている。
賑わうようになった神社周辺の土地が開発され料理茶屋の営業が許可されると、そこは自然と岡場所になったようだ。神様の鎮座する境内も遊女のいる遊郭も同じように非現実の世界のもの。相性はいいのだ。深川の花街は平成に入るまで存続していたというから息が長かった。
富岡八幡宮の境内に足を踏み入れると、御本殿の脇に大きな絵画が立てかけられていた。GOMAというアーティストが描いた「金魚花魁」で、津軽地方の「ねぶた祭」に用いられる「金魚ねぶた」を擬人化した作品だ。一見すると神様の地位座する境内に遊女である花魁というのは場違いなような気がするものの、神社と花街の関係を考えればそれほどおかしな組み合わせではないのだろう。
金魚花魁は首を横に向け、かつて花街だった方を眺めていた。よく見ると、奥の屋根に止まっていたカラスも花魁と同じ方向を眺めていた。
2021年8月 静物 東京 | |
カラス 深川 着物 ロングヘア 絵 屋根 神社 |
No
12009
撮影年月
2021年2月
投稿日
2021年08月25日
更新日
2023年08月18日
撮影場所
富岡八幡宮 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF