湾仔の交差点で、トラムが信号待ちをしていた。香港の街角では見慣れた光景だが、車体に描かれた広告に目が留まった。そこに書かれていたのは「無濕輕」。聞き覚えがあるような、けれど意味がすぐには浮かばない。
香港で使われている繁体字は、日本の旧字体と似ているようでいて、時にその違いに戸惑う。筆画の多さに懐かしさを覚える一方で、同じような形の漢字が、まったく異なるニュアンスを帯びていることもある。字面は読めても、意味がすんなりとは頭に入ってこない。
トラムの運転席には、マスクをした運転士が静かにハンドルを握っていた。乗客たちは無言のまま、外を眺めたり、スマートフォンを見たりしている。そんな静かな車内の様子を、広告に覆われた車体の外から、僕は眺めていた。
「無濕輕」とはどういう意味なのだろう。文字通りなら「湿気がなく軽やか」だろうか。だが、漢方薬の広告であることを考えると、体内の「湿」を取り除く効果をうたっているのかもしれない。
2025年6月 香港 乗り物 | |
広告 漢字 トラム 湾仔 |
No
12865
撮影年月
2024年9月
投稿日
2025年06月23日
撮影場所
湾仔 / 香港
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF