その昔、男爵の邸宅として建てられた洋館を横目に階段を下りていくとバラ園がある。整然と保たれているバラ園は洋風で、邸宅の趣と合致している。しかしながらバラ園からさらに階段を下ると様相は一変する。西洋趣味はどこかへ霧散してしまい、和風の石灯籠が建っている。庭園の中心に心字池が配され、急勾配を利用した大滝、枯山水を取り入れた枯滝、大きな雪見灯籠などが配されていて、どこからどう見ても立派な日本庭園だ。東京の西ヶ原に建つ旧古河庭園の邸宅部分は完全無欠の西洋建築である一方、庭園はバラが植えられた西洋様式の部分と日本様式の池泉回遊式庭園の部分で隣り合っていて和洋折衷になっているのだ。
三菱財閥の岩崎久弥が建てた旧岩崎庭園と異なり、古河財閥の古河虎之助が建てた邸宅に日本様式で建てられた部分はなく、全てが西洋式だ。古河家の人間は接客用のスペースもプライベートな空間も西洋式で過ごしていたのだ。この洋館が建てられたのは1919年。その頃の大金持ちにとって西洋式の生活を営むのは普通になっていたのだろう。それにもかかわらず庭園に関しては日本風な場所も造られている。なぜだろう。茶を嗜むために和風の庭園が必要だったのだろうか。
2022年6月 町角 東京 | |
庭園 西ヶ原 小径 木 |
No
12307
撮影年月
2022年4月
投稿日
2022年06月25日
更新日
2023年08月12日
撮影場所
西ヶ原 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35