マラッカの中心部からそれほど離れていない海辺にその村はあった。海岸を歩いていると、浜辺に若いカップルが並んで腰掛けていた。後ろから見たふたりの姿はシルエットになっていて、近く立っているヤシの木もまたシルエットになっていた。ふたりは何する訳でもなく、ぼんやりと目の前に広がるマラッカ海峡を眺めている。マラッカ海峡は太平洋とインド洋を結ぶ海上交通上の要衝だ。多くの大型貨物船が行き交っている。ふたりは沖を航行している貨物船を眺めながら外国に思いを馳せているのかのようだった。
この村はポルトガル村と言われている。住民の祖先は数百年前の大航海時代にポルトガルから移住してきたと信じられているためだ。写真のカップルの中にも未知なる土地を求めて海原に漕ぎでた先祖の血が流れていても何ら不思議ではない。風が凪いでいて穏やかな海辺とは裏腹に、ふたりの中で未知なるものを求める思いが沸々と湧き上がっていたとしても仕方がないのだ。
2009年4月 マレーシア 人びと | |
カップル マラッカ 椰子の木 水平線 海岸 シルエット |
No
2689
撮影年月
2009年1月
投稿日
2009年04月15日
更新日
2024年07月01日
撮影場所
マラッカ / マレーシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM