男がコルカタの路地で椅子に腰を下ろしていた。頬が痩けていて、首の長い男だった。男は野菜の入ったビニール袋を膝の上に載せていた。ちょうど食材の仕入から戻ってきたばかりのところだった。息が上がっている。
男が働いている屋台はチョーメンを出す屋台だった。チョーメンと聞くだけではいまいちどのような料理なのかピンとこないが、漢字で炒麺と書くと知ればなんとなくわかる。中華麺を使った中華料理のひとつで、日本でいうところの焼きそばだ。中華料理由来の焼きそばをこの辺りではチョーメンと呼び、とてもポピュラーな料理になっている。
チョーメンには中華麺を野菜や肉などの具材とともに炒めたものと、鉄鍋で焼いた麺に片栗粉でとろみをつけた餡をかけるものに大別されるけれど、膝の上にある具材である野菜を見る限り、男が作るチョーメンは前者のようだ。男の傍らにガスボンベが見えるから、強い火力で炒めるのだろう。
材料を仕入れて、これからが男の仕事の始まりのはず。しかし男は既に疲れきっているように見える。仕事が始まる前に疲れてしまうなんて、満員電車に揺られてから仕事を始める日本のサラリーマンのようだ。
2011年9月 インド 人びと | |
キャベツ 食べ物の屋台 ガスボンベ コルカタ 痩せっぽち 野菜 |
No
5739
撮影年月
2011年6月
投稿日
2011年09月23日
更新日
2024年07月01日
撮影場所
コルカタ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
OLYMPUS PEN E-P2
レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42MM