横浜の埠頭の一角に、赤い煉瓦造りの重厚な建物が並んでいる。観光地として名高い横浜赤レンガ倉庫である。現在ではおしゃれなカフェや雑貨店が並び、週末ともなれば若者たちで賑わうが、もともとは税関の管轄下に置かれた新港埠頭保税倉庫だった。輸入品の一時保管を目的に、明治政府の威信をかけて建てられた“模範倉庫”であり、当時の煉瓦はイギリスから輸入されたものも混じっているという。まるで海風に晒されながらも、文明開化の残り香をいまだに漂わせているようだ。
それにしても、明治の人々はよくもまあ、倉庫ひとつにこれほど立派な装飾を施したものだ。屋根の尖塔や装飾金具など、実務には何の役にも立たない。しかし、そうした無駄の美学こそが建物を長生きさせているのかもしれない。現代の倉庫は鉄骨とトタンでできていて、雨風には強いが、百年後に誰も見に来ようとは思わないだろう。
| 2008年1月 建築 神奈川 | |
| 煉瓦 倉庫 横浜 |
No
1337
撮影年月
2007年11月
投稿日
2008年01月23日
更新日
2025年11月25日
撮影場所
横浜 / 神奈川
ジャンル
建築写真
カメラ
CANON EOS 1V