写真を見たときになんだか宇宙船みたいだと思った僕は、現地に赴いて実際に見てみたくなった。赤レンガで組まれた宇宙船を思わせる円形の土台の上に、天へ続くアンテナのような煙突が伸びている。栃木県の野木町にある旧下野煉化製造会社煉瓦窯は古いものなのに外観は近未来的で、そのレトロフューチャーなテイストに惹かれたのだ。
旧下野煉化製造会社煉瓦窯はその名称が示している通り、もともとは下野煉化製造という会社が赤煉瓦の製造に用いていた設備だ。宇宙船のような円形の基礎部分に、煉瓦窯が建設された1890年当時の最新技術であったホフマン窯が備え付けられている。それまでは煉瓦を入れて焼きあげて、熱が下がったら取り出して、といった具合に火を点けて消すのを繰り返していたのを、窯を環状に配置することにより、点火と消火することなく連続して煉瓦を製造できるようにしたのがホフマン窯だ。この窯は1972年まで煉瓦を焼いていて、WIKIPEDIAによると、ここで焼かれた煉瓦は東京駅や日光金谷ホテルにも使われているのだという。
緩やかなスロープを歩いて中に足を踏み入れる。中央には煙突の基礎部分が覗いていて、周囲をぐるっと回れるようになっていた。見学していたのは僕一人だった。これだけ異形でインスタ映えもしそうなのに、見に訪れる人は少ないようだ。まあ確かにアクセスは悪い。車がないと行きづらいところに建っている。でも一見の価値はあると思う。
2024年7月 建築 栃木 | |
煉瓦 煙突 工場 野木町 |
No
12615
撮影年月
2023年11月
投稿日
2024年07月20日
撮影場所
野木町 / 栃木
ジャンル
建築写真
カメラ
IPHONE 14 PRO