初老の男が壁際を歩いていた。鞄を抱えながら下を向いて一歩一歩重い足取りで歩いている。嫌な客先に向かう途中のようにみ見えるし、客先で叱責された帰りのようにも見える。いずれにせよ、男はあまり楽しそうではなかった。あまり気の進まない仕事なのだけれど、片付けなければならない仕事が山積しているのかもしれない。
男の向こうにある壁には全く装飾が施されていなかった。まるで写真撮影に使用するホリゾントのようで、男の沈鬱さを浮き彫りにしているような気がする。ところどころにある塗装が剥げた箇所も、男の心の内を表現しているかのようだ。その一方で、横に立つ物言わぬ街灯はゆっくりと歩く男のことを見守っている。でも、その程度のことでは男の助けにはならないようだ。
2014年1月 人びと フィリピン | |
鞄 男性 マニラ 街灯 壁 |
No
8207
撮影年月
2008年9月
投稿日
2014年01月04日
更新日
2023年12月12日
撮影場所
マニラ / フィリピン
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM