僕が歩き回っていた市場の区画にはあまり買い物客の姿がなかった。もっとも、働いている人の姿もところどころにしか見当たらない。それでも、今は営業時間内のはず。この区画で売られていたのは生鮮食品ではなかったので、薄暗い通路を歩いている買い物客があまりいないだけなのかもしれない。
閑散とした通路を歩いていると、ふと、誰かに見られているような気がした。周囲に買い物客の姿はない。キョロキョロしているうちに僕を見つめている視線の正体が判明する。男の子が僕のことをじっと眺めていたのだ。男の子の周囲には容器やら袋やらが雑多に置かれている。そして、その中央に半ば埋もれるように腰を下ろしていたのだ。膝の上にも大蒜が詰められた袋が載っている。
そこで何をしているのかは分からなかない。男の子は僕のことを見つつも、声を上げることもなくじっと眺めていた。ひょっとしたら、この市場の中でかくれんぼでもしていたのかもしれない。そのため、声を上げることが憚れ、じっと微笑むだけだったのかもしれない。
2019年4月 ミャンマー 人びと | |
鞄 男の子 容器 チャウタン 笑顔 |
No
10964
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年04月07日
更新日
2024年01月15日
撮影場所
チャウタン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA