夕暮れの空が淡い藍に染まるころ、臺中國家歌劇院の前に立っていた。建築家・伊東豊雄の手によるこの建物は、あまりにもなめらかな曲線を描いていて、まるで巨大な彫刻のようだった。壁面にぽつぽつと穿たれた丸窓は、遠目に星のようでもあり、音符のようにも見えた。
その建物の前に、ひとつの小さなバス停がある。無機質な都市のバス停とは異なり、それはまるで建物の一部から切り出されたような造形だった。白く、柔らかな曲線を持ち、そこに腰掛ける人びとの姿すら、都市の風景に編み込まれたひとつの作品のように感じられた。
建築が街を変えるとは、こういうことなのかもしれない。単に美術館や劇場を建てるのではなく、その周囲の空間までも意識し、訪れた人々のふるまいさえも美しいものに変えてしまうのだ。
2025年6月 建築 台湾 | |
バス停 台中 劇場 |
No
12858
撮影年月
2024年12月
投稿日
2025年06月20日
撮影場所
台中 / 台湾
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF