展示室の中は薄暗かった。おそらく貴重な展示物が痛まないように光量をおとしているのだろう。細長いガラスケースが部屋の中央に置かれていて、中にこれまた長い巻物が展示されていた。いつの時代のものかは分からない。でも、相当に古いものなのだろう。
そのガラスケースの前に人だかりができていた。そして、中を熱心に覗き込んでいる。僕が知らないだけで、この巻物も翠玉白菜という翡翠の彫刻と同じように故宮博物院の目玉のひとつなのかもしれない。みな、巻物に描かれている絵に惹きつけられていた。
人びとはガラスケースの上に覆いかぶさるようにしながら巻物を絵の細部まで堪能しているように見える。神は細部に宿る。本当に素晴らしい技術やこだわりは目に見えにくいのだ。そのため彼らは顔を近づけて細部まで確認しているのだろう。まさに神を満喫している最中なのだ。歴代中国皇帝に献上されたであろう巻物は随所に匠の技が施されているに違いない。
2016年11月 人びと 台湾 | |
博物館・美術館 シルエット 台北 |
No
9950
撮影年月
2016年9月
投稿日
2016年11月26日
更新日
2024年01月08日
撮影場所
台北 / 台湾
ジャンル
スナップ写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA