町中に夥しい数のモスクが建っているため、バングラデシュの首都ダッカは別名「モスクの町」とも呼ばれている。人口密度の高さで知られるこの国では、国民の大多数がイスラム教徒であり、その信仰を受け止める器としてのモスクが、文字通り街の隙間という隙間に配置されている。交差点の角にも、裏道の突き当たりにも、少し視線を上げればミナレットが立っている。写真に写っているコンクリート造りの建物も、そうした数多あるモスクのひとつで、バイトゥル・ムカッラムと呼ばれるダッカ最大級の礼拝施設だ。しかもこのモスクは、バングラデシュ政府が直接運営しているというから、日本人の感覚では少し首をかしげたくなる。
第二次世界大戦後に靖国神社が国家の管理を離れ、政教分離が半ば常識となった日本や西洋社会に慣れていると、国家が宗教施設を運営するという事実はどこか落ち着かない。しかし、国民のほとんどが同じ信仰を共有している社会では、それは行政サービスの延長線上にある公共施設のひとつなのだろう。考えてみれば、市役所が体育館を管理するのと、政府がモスクを管理するのとで、本質的な差はそれほど大きくないのかもしれない。もっとも、利用者の心構えには雲泥の差があるのだが。
なお、この巨大なモスクは最大で四万人を収容でき、規模だけで言えば世界でも十指に入るという。歩道橋の上から入口を眺めていると、その数字が誇張ではないことがすぐに分かる。礼拝の時間が近づくにつれ、人びとは静かに、しかし確実な流れを作りながら内部へ吸い込まれていく。
| 2014年12月 建築 バングラデシュ | |
| 人集り ダッカ モスク 参拝客 |
No
8929
撮影年月
2009年9月
投稿日
2014年12月01日
更新日
2026年01月05日
撮影場所
ダッカ / バングラデシュ
ジャンル
スナップ写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM