ムンバイの下町を散策していると、膝に赤ちゃんを抱えたお母さんが道端に腰を下ろしていた。ビンディを額にきらめかせ、大ぶりのイヤリングを揺らしながら、彼女は穏やかに笑っている。その膝の上の赤ちゃんは、目の下に黒い縁取りのようなものを施されているのが印象的だった。これは単なる化粧ではなく、インドで古くから伝わる「カージャル」という煤のような黒いアイラインで、魔除けや健康を願って幼子の目元に塗られる習慣だ。ムンバイの街角では、このカージャルを施された赤ちゃんをよく見かけるが、観光客には一種の異国情緒として映るだろう。
カメラを構えてお母さんと赤ちゃんの姿を記録しようとした瞬間、突如として二人の男の子が視界に割り込んできた。どうやら「自分たちも写せ」と言わんばかりに、狭いフレームの中へずかずかと入り込んでくる。インドの男の子たちは概して人懐こく、写真に撮られることを何よりの遊びのように感じている節がある。案の定、この二人も頼んでもいないのに勝手に並び立ち、ちゃっかり笑顔まで浮かべている。お母さんは「やれやれ」と苦笑いを浮かべ、赤ちゃんはきょとんとした顔つきのまま、状況を理解していないようだった。
2011年3月 インド 人びと | |
赤ちゃん ビンディ 男の子 イヤリング カージャル お母さん ムンバイ 鼻ピアス 親子 四人組 |
No
5249
撮影年月
2010年9月
投稿日
2011年03月02日
更新日
2025年09月09日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM