インド東部の町、マルダの郊外を歩いていたとき、ちょうど踏切の前で立ち止まった。遮断機が降りていて、列車が来る気配がある。やがて遠くから重々しいエンジン音が近づき、黒煙を引きずりながらインド鉄道の列車が姿を現した。先頭には「ジャマールプル」と書かれた機関車。長い車両がゆっくりと目の前を通り過ぎていく。
しかし、それがなかなか終わらない。待てど暮らせど列車は通り過ぎず、踏切は閉じたままだ。運転士が涼しい顔で、通り過ぎていったのが遠い昔のよう。インドでは時間の流れがやや違う。時計の針も牛の歩みも、同じようにのんびりしているのだ。
インド鉄道は世界最大級の鉄道網を誇り、雇用者数はおよそ140万人。これは世界で九番目に大きい組織とされる。国家の縮図のように、膨大な人と線路が入り組んで動いている。そのせいか、遅れるのも止まるのも当たり前。むしろ、時間どおりに来たら奇跡だと誰もが思っている。
| 2013年6月 インド 乗り物 | |
| 貨物列車 マルダ 鉄道 |
No
7643
撮影年月
2011年6月
投稿日
2013年06月25日
更新日
2025年10月26日
撮影場所
マルダ / インド
ジャンル
鉄道写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM