ヤンゴン環状線の列車がゆっくりと駅に滑り込むと、プラットホームは人で溢れ返っていた。これまで訪れた駅とは様子が違い、この駅では乗車を待つ人々の数が格段に多い。そして、列車が完全に停車する前から、人々は列車に群がり始めていた。我先にと車両の中に乗り込もうとする光景が広がる。
列車に乗り込んでくる人たちは、皆大きな荷物を抱えていた。市場で買い出しを済ませた帰りなのだろう。籠や袋からは野菜や果物の一部が見え隠れしている。市場が近くにあるため、この駅は買い物帰りの人々で賑わっているのだと気付かされる。
車両の中は駅に着く前とは打って変わって混雑し始めた。それでも、東京の通勤電車のように押し込められるほどではない。肩が触れ合うほどの距離感で、誰もが荷物を大事そうに抱え、立っている。窓から流れ込む風に乗って、どこか懐かしい匂いが漂ってきた。市場から運ばれたばかりの新鮮な空気とでも言うべき香りだろうか。
列車の揺れとともに、ヤンゴンの庶民の生活が目の前に広がるようだった。都市の喧騒とともに、人々の営みが息づいていることを改めて感じさせる瞬間だった。
2017年2月 ミャンマー 人びと | |
重荷 駅 列車 ヤンゴン |
No
10055
撮影年月
2010年3月
投稿日
2017年02月28日
更新日
2025年01月23日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
鉄道写真
カメラ
RICOH GR DIGITAL