ルアンパバーンの町からメコン川を上流へ二時間ほど遡ると、岩山の中腹に口を開けたパク・ウー洞窟に辿り着く。僕は小さなボートをチャーターし、ゆらゆらと揺れる川面の上を進んだ。エンジンの音が単調に響き、周囲の森はまるで午睡をむさぼるように沈黙していた。メコン川はラオスの大動脈である。魚を運び、仏像を運び、そして旅人の妄想まで運んでくれる。
洞窟が近づくと、灰色の岩肌の隙間に白い階段が現れた。どうやら仏陀に面会するには、少々の登山が必要らしい。人里離れたこの地に、なぜこれほど多くの仏像が集まったのかは定かでない。伝説によれば、かつてラオスの王が祈りを込めて寄進したのが始まりだという。しかし実際のところ、誰かが家の片隅に置ききれなくなった仏像を、ここへ引っ越しさせただけかもしれない。
洞窟の内部はひんやりとして、蝋燭の煙と時間の埃が混じっていた。光の届かない暗がりの中に、大小さまざまな仏像が所狭しと並んでいる。整列しているというよりは、雑然と肩を寄せ合っているという方が近い。まるで長い会議に飽きた仏たちが、皆でさぼっているかのようだ。
| 2008年3月 ラオス 自然 | |
| ボート 洞窟 ルアンパバーン 河川 階段 |
No
1445
撮影年月
2008年1月
投稿日
2008年03月02日
更新日
2025年11月26日
撮影場所
ルアンパバーン / ラオス
ジャンル
風景写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM