東大の本郷キャンパスには、あちらこちらにアーチが設けられている。その数の多さを見るに、このキャンパスを設計した人物はアーチという形に並々ならぬ愛着を抱いていたのだろう。写真に写る通路もまた、アーチ状の構造が印象的だった。その薄暗いアーチの下を、一人の男がゆっくりと歩いている。
このアーチは尖頭アーチで、建物全体がゴシック様式で設計されているようだ。ただし、ここは教会ではない。東大の学び舎である。ゴシック様式には「心豊かな人生の創造を目指し、高遠の理想を仰ぐ」という思想が込められているとされるから、設計者もまた、このアーチに日本の最高学府にふさわしい向学心と崇高な精神を象徴させようとしたのかもしれない。その意図は、通路に差し込む薄明かりの中で静かに語られているようだった。
2017年7月 町角 東京 | |
アーチ 本郷 通路 |
No
10212
撮影年月
2016年12月
投稿日
2017年07月15日
更新日
2024年11月22日
撮影場所
本郷 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA