二子玉川は、いつの間にかすっかり発展してしまった。かつてこの地に二子玉川園という遊園地があり、ジェットコースターや観覧車がのんびり回っていた時代を知る人も、今ではだいぶ少なくなったに違いない。現在の二子玉川では、何食わぬ顔をした新しい商業施設が建ち並び、そこへ向かって歩道橋がすっと伸びている。その姿は合理的で、感慨を差し挟む余地もほとんどない。
この日は雨が降っていた。歩道橋を行き交う人びとは、皆それぞれに傘を差し、濡れないことだけを最優先にして黙々と歩いている。二子玉川の歩道橋は多摩川の氾濫対策も考慮して高めに設計されているらしく、こうした高低差のある構造は、都市計画上はきわめて理にかなっている。もっとも、歩いている当人たちにとっては、ただ少し長い通路にすぎないのだろう。
そんな歩道橋をぼんやり眺めていると、若いカップルがこちらへ向かって歩いてきた。二人は同じ傘の下に収まっているが、肩が触れ合うほど近くはない。並んではいるものの寄り添っているわけでもなく、ふたりの間にはわずかな空白が保たれている。どうやら付き合い始めて、まだ日が浅いのかもしれない。傘という便利な道具がありながら、距離感だけは慎重に扱っている様子が、かえって目につく。
| 2015年8月 町角 東京 | |
| カップル 二子玉川 シルエット 傘 |
No
9409
撮影年月
2015年7月
投稿日
2015年08月07日
更新日
2025年12月23日
撮影場所
二子玉川 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SIGMA DP2 MERRILL