ムンバイの街を歩いていると、突然、壁に向かって設えられた即席の鏡台と、ちょっと背の高い椅子が目に入った。青空の下、歩道にぽつんと構えられた床屋だ。
ごく自然な様子で椅子に座っている男性と、真剣な眼差しで顔剃りをしている理容師。ふたりの間には、言葉にしない信頼のような空気が流れていた。
こうした青空床屋の光景は、インドに限らず、他のアジア諸国でも見かけることがある。シンプルで、効率的で、そして何よりも生活に根ざしている。
ただ、そこに登場するのは決まって男性ばかりだ。客も理容師も、誰ひとりとして女性の姿はない。女性たちはいったい、どこで髪を整えているのだろう。壁の向こうに、あるいはこの風景の影に、僕の目にしたことのない別の物語が広がっているに違いない。
2025年6月 インド 人びと | |
床屋 椅子 ムンバイ 歩道 |
No
12884
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年06月29日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF