女性は雑多な商品の真ん中に腰を下ろしていた

薄暗い市場の中を歩いていると、通路の先に光が見えた。僕は光を求めて、光の見える方へと歩いていく。そして、市場の外に出ることにしたのだった。市場に足を踏み入れたのとは逆側に出たようだ。入った側は市場の外も露天市になっていて露店商たちと買い物客で賑わっていたけれど、こちら側には露店商の姿はない。歩道に沿って通常の店舗が並んでいた。歩道に踏み出すと、その店舗のひとつで働いていた女性と目が合った。

女性の小さなお店には様々な種類の商品が売られている。テーブルの上にびっしりと商品が並べられていて、天井からも商品がぶら下げられている。そして、その商品に囲まれるようにして頭にスカーフを巻いた女性が腰を下ろしていた。市場の中で働いている人たちと同じように、この女性も暇なようでぼんやりと往来を眺めていたようだ。市場から出てきた僕と目が合うと、女性はお疲れ様とでも話しかけてくるかのように穏やかに微笑みかけてくれた。

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