暇そうにしていた男にカメラを向けると、大笑いが返ってきた

ジャカルタ随一の観光名所であるファタヒラ広場が閑散としていると、その周辺で商売している人もやはり暇そうだ。人出の多い週末と同じように広場の周辺には観光客相手の商売している人がいるものの、みな時間を持て余しているように見える。写真の男も広場近くの大通りに乗り合いバスを駐めて、客が来るのを待っていた。けれど客は来ない。なすすべもなく荷台の端に腰を下ろしていた。

白髪交じりのヒゲを蓄えた男は荷台に腰を下ろしながら往来を眺めていた。客になりそうな人がいないのか見ていたのだろう。しかし、客になりそうな人はそうそういない。平日である金曜日に観光名所を浮かれた気分でうろついているような人はあまりいないのだ。どこの国でもそうだけれど、平日の昼間に仕事するでもなく、観光名所をウロウロしているような輩にはろくな人がいない。そのような中、幸か不幸か、近づいてきたのはカメラを携えた外国人旅行者だった。

僕がカメラを男に向けると、予想外だったのか男は笑い出した。

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