琉球王朝随一の聖域として知られる斎場御嶽(せーふぁうたき)は、沖縄本島南部の高台にひっそりと佇んでいる。その周囲には深い森と奇岩があり、古代の人々がここで祈りを捧げたというのも頷ける。聖地というものはえてして分かりやすい標識がない。神様は目立つ看板を好まないらしい。
斎場御嶽から少し離れた岬に立つと、眼下にはどこまでも広がる海が見える。まるで世界がそこから始まっているようだ。陽光を受けて白く輝く波が、岸辺に寄せては引いていく。遠く、海に突き出た小さな岬の上にホテルが建っているのが見えた。あれほど神聖な場所のすぐそばに宿泊施設をつくるとは、なんとも大胆だが、神様もときどき人間観察を楽しみたいのかもしれない。
ホテルの窓からは、おそらく海しか見えないのだろう。人間が「絶景」と呼ぶ光景は、案外、神々が日常的に眺めている風景と大差ない。そう思うと、部屋の料金設定が少し高くても仕方がない気がしてくる。神様の特等席を借りるようなものだからだ。
| 2007年8月 風景 沖縄 | |
| 岬 雲 ホテル 南城市 海 空 |
No
1035
撮影年月
2007年6月
投稿日
2007年08月22日
更新日
2025年11月26日
撮影場所
南城 / 沖縄
ジャンル
風景写真
カメラ
CANON EOS 1V