沖縄県の八重山諸島に属する波照間島へ行くのは、なかなかに骨が折れる。島には一応空港が存在する。かつては石垣島との間に航空路もあったようだが、現在は実質的に休止状態だ。飛ぶかどうかも分からない便をあてにするわけにはいかない。一般的な方法は、石垣島から高速船に乗ることだ。激しい揺れに一時間ほど耐えることになる。この航路は黒潮を横切る。そのため、波が高くなるとすぐに欠航する厄介な代物だ。不便な場所だから、わざわざ訪れる旅行者はそれほど多くはない。
そのわざわざ訪れる旅行者はそれほど多くはないおかげで、島内にある評判のニシ浜も随分と空いていた。「ニシ」というのは共通語の西ではなく、沖縄の言葉で「北」を意味する。つまり、北側にある素晴らしいビーチということになる。方角の呼び名ひとつとってもへそ曲がりで面白い。この静かな海岸は、何もせずにぼんやりと時間を潰すには格好の場所である。目の前には白い砂浜が広がっている。緩やかな弧を描いた波打ち際がどこまでも続いている。サンゴ礁に囲まれているためか、寄せては返す波もひどく低い。
その寄せては返す波もひどく低い波打ち際を、人影が所在なさげに歩いている。強い南国の太陽に照りつけられていた。そのため、彼らの姿が大人なのか子どもなのかも判然としない真っ黒なシルエットになって、白い砂浜に浮かび上がっている。誰かと群れるでもなく、みな思い思いの方向にトボトボと歩いていた。その様子はまるで迷子にでもなったかのようで、少しばかり滑稽だった。
| 2007年9月 沖縄 人びと | |
| ビーチ 波打ち際 人影 波照間島 シルエット |
No
1072
撮影年月
2007年7月
投稿日
2007年09月09日
更新日
2026年06月11日
撮影場所
波照間島 / 沖縄
ジャンル
自然写真
カメラ
CANON EOS 1V