沖縄県の有人島として最南端に位置する波照間島へやってきて、評判のニシ浜に足を運んだ。目の前には眩しいほどの白い砂浜が広がり、海はどこまでも穏やかである。波がほとんど無いため、海と浜の境目が不自然なほどはっきりとしていた。まるで誰かが定規と絵の具を使って、「ここから先が海である」ときれいに線を引いたかのようだ。じっと眺めていると、自分が対峙しているのが広大な大海原ではなく、近所の公園にある大きな池か何かではないかと錯覚してしまう。本来、海の波というものは風と海底の地形の干渉によって作られるものだが、このビーチを優しく囲む浅いサンゴ礁が、外海の荒波をきれいに遮断しているのだろう。
そのサンゴ礁に守られた池のように静かな海をぼんやりと眺めていると、一人の女性が僕の視界を横切った。上空の強い日差しに容赦なく照らし出されて、彼女の姿は真っ黒なシルエットになっている。女性は急ぐ風でもなく、ゆっくりと海と浜の境目に沿って、白い砂の上を歩いていく。わざわざこんな本土から離れた果ての島までやってきて、ただひたすらに波打ち際を歩く彼女の胸中には、一体どのような思惑があるのだろうか。都会の喧騒に疲れて自分探しの旅にでも出たのかもしれないが、僕と同じようにただ退屈な暇を持て余しているだけかもしれない。
ただ暇を持て余しているだけかもしれない彼女の歩みをなおも目で追いつつ、ふと視線を遠くの沖へと向けてみた。はるか彼方の水平線のあたりに、いくつかの白い雲がプカプカと気持ち良さそうに浮かんでいるのが見えた。波照間島の周辺は大気が非常に安定しており、夜になれば日本国内では珍しく南十字星がはっきりと観測できることでも有名だ。
| 2007年9月 沖縄 人びと | |
| ビーチ 雲 人影 波照間島 海 シルエット |
No
1073
撮影年月
2007年7月
投稿日
2007年09月10日
更新日
2026年06月11日
撮影場所
波照間島 / 沖縄
ジャンル
風景写真
カメラ
CANON EOS 1V