ネパールの古都バクタプルをあてもなくふらふらと歩いていた。見事な木彫りの窓枠が並ぶ旧市街の入り組んだ路地を抜けると、レンガが敷き詰められた小さな広場に出た。古びた白い建物にはだらしなく電線が絡みついていて、足元には不釣り合いな丸いマンホールの蓋が鎮座している。その広場の端っこ、何かの袋が積まれた壁際に、ひとりの男の子がしゃがみ込んでいた。
その壁際にしゃがみ込んでいる男の子は、ひどく思い詰めたような格好でじっと下を向いている。両手をだらりと垂らし、まるで世界の終わりでも迎えたかのように、たったひとりで何かに耐えているように見えるのだ。少し心配になって、少し離れた場所からしばらく観察していても、彼は石像のように微動だにしない。一体何が彼をこれほどまでに沈鬱な雰囲気に陥れたのだろうか。親にこっぴどく叱られたのか、それともお気に入りのおもちゃでも無くしたのか。
その親に叱られたかおもちゃを無くしたかして沈鬱な雰囲気に陥っている彼を見ていると、なんだかこちらまで気が滅入ってくる。しかし、よくよく考えてみれば、南アジアの人間というのは、椅子がない場所ではこうして器用に踵を地面につけてしゃがみ込む習慣がある。彼らにとってはこの姿勢が一番リラックスできる休憩のポーズなのだ。だから、僕が勝手に悲劇の主人公を気取って同情しているだけで、本人は単にマンホールの蓋の隙間を歩くアリの行列でも眺めて暇を潰しているだけなのかもしれなかった。
| 2010年1月 町角 ネパール | |
| バクタプル 男の子 沈鬱 旧市街 |
No
3626
撮影年月
2009年6月
投稿日
2010年01月27日
更新日
2026年05月30日
撮影場所
バクタプル / ネパール
ジャンル
スナップ写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM