口髭を生やした男は八百屋だった。包丁を手にして、ちょうど野菜を切っているところだった。僕を見かけると、一瞥はしてくれたのだけれど、すぐに視線を逸らして仕事の続きしている。
男の顔にはつまならそうな表情が浮かんでいる。写真を撮られることをつまらないと思っているのか、道端で野菜を切るのをつまらないと思っているのか、どちらなのかは定かではない。笑顔の写真を撮りたいと思ったのだけれど、どうやったら男の注意を惹きつけられるのかは分からなかった。そんな僕の目の前で男は黙々と野菜を切っていた。
No
9274
撮影年月
2010年9月
投稿日
2015年06月01日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM