住宅密集地の中にあるモスクの前には屋台だけでなく、食堂も店を構えていた。でも、中に客の姿は見当たらない。子どもたちが遊んでいただけだった。正面にあるモスクではイスラム教の集団礼拝が行われている真っ最中で、男たちの多くはそれに参列している。敬虔な信徒ではなくとも、わざわざモスクで礼拝が行われている時間にこれ見よがしに食堂で食事を摂るような挑発的な人間はいない。食堂でのんきに食事するような男はいない時間帯だったのだ。
写真の男の子はその閑散とした食堂の中で遊んでいたひとりだ。鮮やかな生地の服を着ていた。バティックだろうか。丈がちょっと長く、一見するとインドやバングラデシュで着られているシャルワニのようにも見える。でも、ここはインドネシアのジャカルタだ。シャルワニでないのだろう。単に丈の長いパジャマだったのかもしれない。
真っ赤な冷蔵庫の横に立つ男の子にカメラを向けると、男の子は手に持ったペットボトルで対抗してきた。まるでペットボトルを拳銃のように構え、僕に狙いを定めたのだ。片目を閉じてじっと僕を見据える男の子の顔は真剣そのもので、ペットボトルの底から何かが発射されるのではないかと身構えてしまうくらいだった。
2021年3月 インドネシア 人びと | |
男の子 コカ・コーラ ジャカルタ ペットボトル 冷蔵庫 シャルワニ |
No
11862
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年03月31日
更新日
2023年08月25日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF