口髭をたくわえた男が、ダッカの道端に出ていた小さなスタンドで静かにチャを飲んでいた。ここはバングラデシュの首都ダッカで、車と人と埃が同時に前進してくる街である。その喧騒の縁に置かれた簡素な卓で、男は白い磁器のカップを指先でつまみ、こちらを見て薄く笑った。インドでは素焼きのカップでチャイを飲ませる店が多いが、この辺りでは意外にも磁器が主流らしい。割れたらどうするのかと余計な心配をしてしまうが、本人たちは気にしていない様子である。
ちなみにバングラデシュでは、いわゆるミルクティーのことをチャイとは呼ばず、単にチャと言う。言葉一つで随分と印象が変わるものだ。同じベンガル地方でも、国境を越えた途端に呼び名が変わるのだから、言語というのはなかなか気まぐれである。茶葉自体は19世紀にイギリス人が持ち込んだものだが、今ではすっかり生活必需品として根を下ろしている。朝でも昼でも、特別な理由がなくても、人はチャを飲む。
| 2010年3月 バングラデシュ 人びと | |
| コップ ダッカ 男性 茶 |
No
3787
撮影年月
2009年9月
投稿日
2010年03月06日
更新日
2026年01月05日
撮影場所
ダッカ / バングラデシュ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM