夕暮れが近づくと、韓国の地方都市・安東の町並みは慌ただしさを帯びてくる。市場から戻る人、夕飯の買い出しに出る人が入り混じり、路地も大通りも人の気配で満ちていた。特に目立つのは女性たちで、まだ西日に焼かれるのを避けるように日傘を差して歩いている。日本と同様、白い肌は美の象徴であり、古くは中国から伝わった美的感覚が根強く残っているらしい。もっとも、安東の婦人が持つ日傘は、どちらかといえば機能優先の大ぶりなものが多く、見ようによっては露店のパラソルを抱えて歩いているように見える。
写真の小太りの女性も、そのひとりであった。買い物袋を腕に下げ、悠然と歩いていたが、こちらがカメラを構えていることに気づくと、実に素早く日傘を傾け、自分の顔をすっぽりと隠してしまった。その所作は、忍者の隠れ蓑か、あるいは舞台役者の見得のようでもある。どうやら韓国の安東においても、「撮られるくらいなら消えてしまえ」という気分は健在のようだ。もっとも、観光パンフレットには決して載らない町角の本音を垣間見られたような気がして、こちらも思わず苦笑いを漏らした。
2013年11月 町角 韓国 | |
安東 ぽっちゃり 傘 女性 |
No
8052
撮影年月
2008年6月
投稿日
2013年11月08日
更新日
2025年08月24日
撮影場所
安東 / 韓国
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM