ホーチミンの路地を歩いていると、ふと目に留まる光景があった。女性が道端にしゃがみ込み、何かを器用に手先で扱っている。小さなナイフで葉を裂いているのか、細い糸のようなものを結んでいるのか──遠目にはよく分からなかったが、その指先には長年の経験が刻まれているようだった。
思わずカメラを構えると、女性はこちらに気づき、ぱっと顔を上げて笑った。その笑顔は照れくさそうでいて、どこか誇らしげでもあった。皺が一斉に頬に集まって、柔らかく顔全体がほころんだ。
けれど、彼女の手は止まらなかった。笑っても、話しても、手は動き続ける。それが彼女の一日の一部であり、生活そのものなのだろう。誰かに見られているからといって、わざわざ演じることもない。
2009年9月 人びと ベトナム | |
クスクス笑い にこやかな笑顔 ホーチミン市 笑顔 女性 皺 |
No
3136
撮影年月
2009年3月
投稿日
2009年09月02日
更新日
2025年06月24日
撮影場所
ホーチミン市 / ベトナム
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM