ネパールの首都であるカトマンズの旧市街を歩いていた。当てもなくうろついていると、通り沿いに古びた小さな雑貨屋を見つけた。ネパール語で「パサル」と呼ぶ小さなお店だ。雑貨屋といっても客が店内に入って品定めをするような洒落た造りではない。薄暗いキオスクのような店構えで、通りに面したカウンター越しに店主のお爺さんとやり取りをして品物を買うという、昔ながらの対面販売の店である。そんな昔ながらの店の前に、一人の小さな女の子がやって来た。
そのやって来た小さな女の子は、店のカウンターのど真ん中に堂々と陣取った。そして、ガラスのショーケースの中に並べられた商品を、食い入るようにじっと見渡している。手にはなけなしの小銭を握りしめているのだろうか。何を買おうかと真剣に逡巡しているその後ろ姿は可愛らしい。ガラスの向こう側には、ポテトチップスやよく分からない色をした飴玉など、どう見ても身体に悪そうな駄菓子が所狭しと並べられている。
その身体に悪そうな駄菓子が並ぶ光景は、彼女のような子どもにとってはまさに魅惑の天国なのだろう。店の奥には世界中どこにでも蔓延っているコカ・コーラのペットボトルが積み上げられていて、グローバル資本主義の浸透力にはひどく感心させられる。店主のお爺さんは、迷い続ける小さな客を急かすこともなく、ただ退屈そうに宙を見つめていた。僕はこの長閑で平和なやり取りを眺めながら、自分が子どもの頃に数十円の使い道に頭を悩ませていた記憶を薄ぼんやりと思い出していた。
| 2009年11月 町角 ネパール | |
| バック・ショット コカ・コーラ 雑貨屋 女の子 カトマンズ ペットボトル |
No
3350
撮影年月
2009年6月
投稿日
2009年11月06日
更新日
2026年05月18日
撮影場所
カトマンズ / ネパール
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM